連載当時は、海江田が撃たれたことや、「友達だからな」に動揺して本誌を読まないうちに終わってしまいました。終わったことを知ってからも、単行本や総集編を、どうしても確認できませんでした。 最終話を呼んだのは、連載終了後二年ほどしてからでした。
あれを、オープンエンドと呼べるのかどうか分かりませんが、それにしても果てしなく読者に任された終わり方だと、がっかりしたことを覚えています。 それでまた少し、手元に全巻揃っているのに読まなくて、大学を卒業してからまた読み返し子どものころとは違う感想を持ちました。 毎週話を追っていたころとは違い、台詞の一つ一つ、視線の動かし方までじっくりと読めば読むほど深い。もちろん、結末を知っているのと知らないのとでは感じ方が違うのは当然ですが、違う視点で違う話を読むように読める。 ただ、冷戦なんかは、連載当時の時勢を子どもながらに体中で感じていたときと、そういう時代もあったと思いながら読むのとでは臨場感や肌で感じる温度が違いますね。それはそれで冷静に読めて面白いのですけれど。
海江田が北極であれこれやっていたとき、私は中学生で、ネルソンとやりあっていたころは高校生でした。思春期を一緒に過ごしてきたたいへん思い入れのある作品です。別に職業に影響したとか無いですけど、でも、『沈黙の艦隊』に出会っていなかったら、自分の思考がまったく別人だったんじゃないかなと思います。
何年経っても、新しい発見とともに楽しめる作品と出会えたことは、幸せだなあ、オタクで良かった、としみじみ感じます。 |