海江田と山中の握手シーンが好きです。
海江田がひとつの満足出来る大きな状況の変化を得たとき、健闘を称えあうようなお互いをいたわるような、喜びをかみしめる相手として他でもない山中を迷うことなく選んだところが、JOJOっぽく表現すると、グッときたぜ! 言葉を交わすことなく、ただ、力強く手をとって見詰め合う、ふたりの強い絆を感じます。それまでずっと、海江田あっての山中、と思っていたのですが、実はというかなんというか、山中あっての海江田なんだなと目から鱗でした。 10年、それはお互いに支えあってきた年月であって、海江田は山中がいたからこそ「やまと」計画を実行に移せたのでしょう。パートナーとしての信頼と親愛があの握手に満ちていて、きっと山中はその手の感触、温かさ、力強さを一生忘れないだろうと思います。洗えない!とかは言わないだろうけれど。
海江田を失っても微動だにしなかった山中は、その後深町の後ろに控えるかのような態度で、海江田の後継者であることを放棄していました。死んだもののために生きてはならないというある種の遺言を、山中はきっちりと守っていると思います。 もちろん、タービュレントに乗ってSSSSの実現に向けて動いているのは海江田の理想のためかもしれませんが、海江田の行動をなぞるようなことはせずに自分の出来ることをやる、という決してでしゃばらないそれまでの彼そのままだと感じました。自分が次期「やまと」元首だというわけではなく、あくまでも理想を追うだけで海江田を追っているわけではないのです。
しかし、ひたすらに海江田の理想のために働くのは、死んだもののために生きている、とも言えるのかもしれません。いつまでも海江田に拘っているわけではないものの、山中にはいまさらもうそれ以外の生き方は出来ず、この一冬の航海は、山中にとってもしかしたらもっとも幸せな数ヶ月で、今後もこの航海を支えに生きていくのだとしたらそれはちょっと寂しい気もします。 |